早朝の公園で頭を下げ続ける人気ラーメン店の店主。そこから考えるこれからの飲食店事情

「大変申し訳ございません!本当に申し訳ございません!」

2017年1月8日(日)朝7時、早朝の公園で頭を下げ続ける店主がいました。そしてその姿を見守る大衆。大衆が黙って見守る中、店主はひたすらに頭を下げ続けていました。

頭を下げ続ける店主は、錦糸町の人気ラーメン店『真鯛らーめん麺魚』の店主です。

なぜこんなことになったのか。まずはそこから説明していきたいと思います。

真鯛らーめん麺魚OPEN1周年イベント開催

2016年1月、錦糸町にOPENしたラーメン店『真鯛らーめん麺魚』。真鯛をダシに使い、 真鯛にこだわったラーメンを提供するラーメン店は、OPEN直後から人気を集め、東京の名だたる人気ラーメン店の仲間入りを果たしました。

2017年1月8日(日)は、『真鯛らーめん麺魚』のOPENから1年。1周年を盛り上げる限定イベントの開催が決定しました。

なんと1周年限定イベントのメニューはトラフグ100%らーめん!これは誰もが食べたいと思うはず。

さらにイベント前日の1月7日にはTBSの王様のブランチでもお店が紹介され、話題は増していくばかり。

そして迎えたイベント当日

2017年1月8日(日)イベント当日、この日の都心は特に冷え込み朝の時点で氷点下。朝7時に始まる整理券の配布に向け早起き、6時半ごろに錦糸町にあるお店に到着しました。

なんとこの時点で100人ぐらいの行列が!!!

(写真左奥、赤い鯛の描かれている場所がお店です。)

6時半についた時点で80番目、いや100番目ぐらいか。店頭の公園を半周分ぐらい人が並んでいます。その後も人は増える一方。

今回の限定メニューは200色限定。そして、今回の限定ベントにはひとつ大きな問題点がありました。

その問題点がこちら↑↑↑

なんと「整理券何枚でもOKです!」とのこと。イベント開催前からこの制度については問題があるのでは?と危惧されていました。

結果

7時に整理券の販売がスタート。7時時点では既に200人以上並んでいました。購入の手間があるので列はなかなか進みません。販売開始から30分、やっとのことで店頭あたりまで来たところで、店主が店頭に出てこう言いました。

「大変申し訳ございません!本当に申し訳ございません!、本日はもう提供できなくなってしまいました。朝早くから寒い中ならんでいただいたに関わらず申し訳ございません。大変申し訳ございません。」

朝の静かな公園に店主の声だけが響きます。そう言われてもどうしようもなく何もできず呆然と立ち尽くす行列に並んだ人々。ひとりのお客が列を離れたところで、次第に皆その場をあとにしていきました。残念な思いを胸にその場を去る中、公園には店主の謝罪の声だけが続いていました。

結果として多くのクレームが発生する事態に。


これが、店主が頭を下げ続けることになった経緯であります。多くの人にとって後味の悪いOPEN1周年イベントとなりました。

お店はどうすればよかったのか?

今回こういった結果になってしまった人気ラーメン店。この事態を防ぐ手立てはなかったのか?複数の対策を考えてみたいと思います。

1、整理券はひとり1枚にする。
2、整理券の事前販売をネットで実施する。
3、限定メニューの値段を上げる。
4、限定イベントは開催しない。

1、整理券はひとり1枚にする。

これができていれば、今回行列に並んだすべての人に整理券の販売ができたのではないかと思われます。話によるとひとり最大4枚まで購入できた模様。結果として80人前後しか購入できないこととなりました。また、整理券がひとり1枚だった場合、200人以内に並んでいないと購入できないことが明らかなため、店員さんが人数確認を行うことで購入できない人が長時間並ぶという事態にもならなかったと考えられます。

2、整理券の事前販売をネットで実施する

これは結構簡単にできそうです。チケッティングサービスPeatixなどを利用すれば、時間帯別の整理券を指定した枚数だけ販売することができそうです。ただし決済処理費用として販売実績の4.9%+99円/チケット枚数がかかることと、販売開始からわずか1分で売り切れるなどの事態が起きそうです。それでも朝早く寒い中店頭に行列ができる事態は防げそうです。

3、限定メニューの値段を上げる。

今回販売された限定メニュートラフグラーメンの値段は1,500円。OPEN1周年ということもありお店側も利益が少ないギリギリの値段で販売したのではないかと思われます。しかし、この1,500円という手ごろな価格が多くの人々を集める結果となりました。(もともと低価格というのがラーメンの魅力ではあるが。)もし値段を5,000円さらには10,000円に設定していれば購入する人、複数枚購入する人は減ったのではないかと思われます。一杯10,000円は高すぎると反感をかうかもしれませんが、価値のあるものに対してお金を支払う人はいます。

4、限定イベントは開催しない。

これが一番無難かも。マーケティングにおいて枯渇感は非常に重要です。1日だけさらに200食限定。もしかしたらもう二度と食べられないかもしれない。そういった枯渇感があるからこそ、人は衝動的にモノを買いたい体験したいというモチベーションになります。しかしそういったモチベーションが高まれば高まるほど、そのモチベーションが現実とならなかったときのショックは大きいものです。限定イベントを開催しなくともお店の人気は変わりません。通常営業のみで続け、曜日限定で特別メニューを提供するぐらいにした方がいいのかもしれません。

飲食店が抱える予約や整理券にかかわる課題

こういった事態が起きるのは今回が初めてではありません。予約や整理券にかかわる課題は、飲食店において数多く見られます。

もしラーメン店に予約という機能があったらどうなるのか?予約する人は多くいると思います。しかしそれと同時にキャンセルも多いといった問題が発生します。さらにラーメンを食べる人は、人によって食事の時間が異なるため予約時間の設定も難しいものとなります。

予約機能を利用しているレストランや居酒屋もまたキャンセルという課題を抱えています。当日キャンセルは毎日のように発生しキャンセル料を設定していたとしても、ほとんど回収できないのが現状です。

この課題を解決できる事前決済予約システムが必要

飲食店の予約や整理券にかかわる課題が解決できるサービスができればといいなと思います。

ぱっと思いつくのは、仮想通貨を使った事前決済予約システム。

事前に自分のお金を仮想通貨に変換。予約時点でお店側が決めた仮想通貨金額で席を購入。お客は訪問するしないに関わらず決められた仮想通貨金額を支払います。実際に店舗に訪問した後で、差額分を返却ないし追加する。事前購入であれば今回起きたような朝早くから大勢の人が長時間並ぶとう現象も起きないでしょう。

じゃあ割り勘とかどうするの?など問題点は数多くありますが、いまの飲食店の課題を解決できるこういったサービスができればいいな。もしくは自分で開発できるといいなと思います。

今回訪問できなかった『真鯛らーめん麵魚』には、また別日に訪問し人気の鯛らーめんをいただいてみたいと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする